続・上流工程を担当する=偉いという誤解について(「偉い」について考えてみたよ!

今更ですが、このエントリの中での「偉い」の定義が曖昧だったんですよね、お陰で変なエントリになってしまいました><そんなKusoってるエントリに対してid:kompiroさま、id:Horiuchi_Hさま、id:loveatさま、id:AWAWAさま、コメントありがとうございます。

という訳で、こんなにコメントを頂いてしまった以上、続編書かないといかんだろ、という事で。コメントに書いても良かったのですが、入力欄のサイズに加え投稿前確認が出来ない、ステージ低い僕には投稿前確認必須(でもたまに余計な事を書いたり、逆に書き忘れたりする)などを踏まえて、新たにエントリを起こします。


まず、「偉い」って一言で言いましても色々あります。

  • 組織的な上下関係での「偉い」。(そして報酬も多い)
  • 特定のミッションを安心して任せられるという意味での「偉い」。
  • より責任ある立場という意味での「偉い(でも貴賎とは関係ない)」。
  • 尊敬できるという意味での「偉い」。

僕が勝手に思うに、id:kompiroさまがコメントに書かれた内容での「偉い」は【組織的な上下関係での「偉い」】かな、と。そして、id:Horiuchi_Hさまの書かれた「偉い」は【特定のミッションを安心して任せられるという意味での「偉い」】ではないかな、と。id:loveatさまの「偉い」は【より責任ある立場という意味での「偉い(でも貴賎とは関係ない)」】、id:AWAWAさまの「偉い」が【尊敬できるという意味での「偉い」】ではないか、と。

色々な「偉い」があるんですよね。多分、エンジニアの技能を定量的に測定できない(だから開発コストも微妙にあやふやな数値化しかできない)という原因の一端が、このへんにあるんだと思います。


id:kompiroさまが言うように、上流工程は下流工程に及ぼす影響の大きさから考えて下流工程を担当する人より大きな責任を担うべき、という見方もあります。基本的に、社会的報酬は責任の大小に依存しますので、結果より多くの報酬が得られる事になると思います。結果、下流工程を担当する人より上流工程を担当する人の方が「偉い」。

僕個人は、これに加えて上流の1工程で必要になる知識や情報量は下流の1工程で必要になるそれより多い、と考えています。要は、下流をどれだけ意識して上流の工程を担うか、という事なので、下流の工程を全く知りませんじゃ仕事にならないです。


これを踏まえて若干僕が危険視しておきたいのが、「上流工程をやった事ある人は偉い」という誤解と「だからと言って、偉い人なら上流工程を出来るのかというとそういう訳でもない」という現実が抜け落ちる事がままある点ですね。


下流の仕事を把握していて、下流に極力影響を及ぼさないよう上流で最大限の努力と工夫を凝らす人は、id:Horiuchi_Hさま、id:AWAWAさまの書かれた「偉い」に通じるものがあります。そして、それだけの影響力を担う上流の仕事をする人は「偉い」というのも、id:kompiroさま、id:loveatさまの書かれた通りです。でも、下流の仕事を一切把握せずに、下流に極力影響を及ぼさないよう上流で最大限の努力と工夫も全く凝らさない人であっても、上流工程を担う人は「偉い」のかとなると、何だかおかしな事になります。(そして、このへんで泣かされたって人の話は、はてな村だけでも相当数あると思います)

更に、ここに貴賎が絡むと更にややこしくなりますよね。


id:Horiuchi_Hさまが書かれていたような「実装ばっかりやってないで、設計だけに移行しないと」という事を言うような人は、多分設計が実装より貴い仕事だと思っていらっしゃるんでしょう。これが本当に「偉い」のかな?という話ですよね。設計したって実装されなきゃ意味が無いんです。

このへんに、私が「職に貴賎なし」とか偉そうに書いた意図の殆どがあります。


チームで仕事をすることの方が圧倒的に多い僕らの仕事で、貴賎を問いはじめるのは本当に危険なんです。例えばお客様のニーズを分析する人がアレな方で、それによって設計〜実装〜試験で綺麗にデスマーチという「よく聞く話」でも、お客様のニーズを分析した人は「偉い」というのは、感情的になかなか納得できませんがそれでも100歩譲って「偉い」とします。しかし、「だから、開発要員より貴い」という理屈は絶対に成立しないと思うんですよ。お客様のニーズを分析しても、設計と実装と試験をしなければ、その分析結果はまっとうな商品にならないんですから。そして、ここに貴賎という価値観が入り込むと、そもそも貴賎なんて理屈の無い価値観ですから即感情に繋がるんじゃないかな、と。
利害関係だけでも調整が難しい中で、感情的な調整も考えなきゃいけなくなるのは、もう立派に自殺行為と言えるんじゃないかと思います。


会社への貢献度とか報酬、上下関係というのは、勤続年数から来る信頼なども加味される部分なので、技能や実績をそのまま投影したものでは無いと思います。なのでコレは別途考えるとして、結局僕が一番言いたかったのは、その場、その局面で、やるべき事をしっかりやるのが一番「偉い」んだと思いますよ。

一人で開発をしている訳じゃない、という仕事であればなおの事、自分が与えられた仕事をしっかりこなすというのは、それだけで胸を張って良い事なんです。この仕事は、自分の仕事をきっちりこなす為には、自分が担当する領域以外の事も十分知っていなきゃいけない事がとても多いので、それも含めて自分の仕事をこなすというのはそれだけで結構大変な事です。それをしているんですから、担当する工程が上流か下流かなんて考える必要はなく、もう無条件に胸を張って良いのにって思うんですよ。


・・・とオブラートに包んだ表現をして「偉いとは何か」を考える羽目になったので(いわば怪我の功名でしたが)ズバリ書いてしまうと、要は「偉くなりたいからとりあえず上流工程やりたい!って言う奴爆発しろ!」「下流工程なんて下っ端のする仕事、俺様にはそんな事できねーって言う奴爆発しろ!」って事なんです。(それでも、きっちり仕事をこなせるなら問題ないですけどね)