分かった。(「スーツとギークに便乗、でも出来ればこれを最後にしよう」の巻)

僕のエントリで何故、話がまとまらなかったか。まるで自分がスーツとギークの対立に賛同しているような論調になったか。そして、僕が何故こうも不満丸出しな事を書いてしまったか。


答えはこれ。

現時点でギークがスーツに抗して行くには、ギークがスーツ語を話す場合があるのみで、スーツがギーク語を習ったという例はほぼ皆無である。

404 Blog Not Found:Geekの皮を被ったSuits

僕の中に、このへんに対する非常にネガティブな感情があるからだ。


正直、id:gothedistanceさまの書かれた「スーツ」のイメージは、深いなとは思ったしスーツの人を自称するid:gothedistanceさまがこういった事を考えているという事はとても良いと思った。しかし、

エンジニアがスーツになってもいいと思う。エンジニア寄りのスーツってめっちゃ希少価値高い気がするけどなぁ。いざとなれば自分でコード書ける自分でありたい。そこは失いたくない。

2007-12-26

なぜ、ここでギークのフィールドをスーツのフィールドに移さなくてはならないのか。なんだかそれが前提でなければ、歩み寄るのは不可能だと突き放されたようなそんな印象を抱いた。結局、スーツがギークに歩み寄るって事はあり得ないのかな、と。Disるつもりは毛頭無いし、id:gothedistanceさまは私にとって非常に勇気付けられるエントリを多数書いておられる。でも、このエントリを読んだ時、率直に僕は「結局スーツは、ギークがスーツに歩み寄る事しか選択肢として考えていないのか」なんて思ってしまった。(このへんについては後述しようっと)


で、こちら。

スーツを身にまとっても、負けじゃない。しかしそれを魂に纏ったら、負けなのである。

404 Blog Not Found:スーツの道も、舗装するのはギーク

そう、これがスーツかギークかを分ける一つの基準だ、と思った。


でもその前に。僕の持つスーツのイメージとid:gothedistanceさまの持つスーツのイメージは、間違いなく違っている。だから、何となくid:gothedistanceさまのエントリを読んで「なるほどなぁ、良い事言うなぁ」と頭で思いつつ、心では「そうなのかなぁ」と釈然としないものを感じたんだな、と思った。


だから、もう一度整理する。

僕の中でのギークの定義はこうだ。

  • システムを改善しようと考えている人。
  • 改善の為に必要と思われる知識を貪欲に取り込もうとしている人。

フィールドは、顧客の業務でも自社のビジネスでもシステム開発手法でも、何でも良い。何かしらに改善の余地を見つければ、改善方法を考えずにはいられない人。そして、いつか来る改善の実施に向けて、日々自己研鑽に励んでいる。別にそれがITに関する事である必要は無い。それが僕の中で言うところのギークだ。

だから、id:gothedistanceさまはギークかスーツか、と言えば、僕はギークだと思う。常に何かを良くしていこうと考えられているid:gothedistanceさまは、ただ今いる場所がスーツなだけでそして自分で自分をスーツだと言っているだけで、ギークだと思う。

では、スーツの定義は、というと実はまだ全然まとまっていない。前述のネガティブな感情から、細かい例は山盛り出てくる。でも一般論にまで昇華できない。


と、ここまで書いていて、のFirefoxhatenabarのRの一部が赤くなった。

スーツとかギーク以前にだな、どれだけちゃんと社会人であるということをやってるかってことじゃないかえ。ちゃんと自分の食い扶持は自分で稼ぐのが社会人。
(中略)
世界を変える云々の前に、誰かの「役に立て」! それが社会人としての「最低限」だ。でなきゃお金をもらう資格がないんだよ。話はそれからだ。

http://d.hatena.ne.jp/habuakihiro/20071228#1198852977

なるほど、ごもっとも。いかに自分が小物か痛感した。
多分、自分がもう1人目の前にいたらすげー勢いでDisってその内容を自慢げにエントリに書いて、Blogを炎上させてたかも知れない。

ちなみに、

駄目な SI会社がいっぱいあるってだけの話だ。

http://d.hatena.ne.jp/habuakihiro/20071228#1198852977

この一文は、多分はぶさんのサービス、というか優しさだと思った。


でも、それをどういった形であれ表現していくのは、僕個人としては悪い事ではないと思っていたりする。後ろ向きかも知れないし建設的ではないかも知れないけど、少なくとも「問題がある」「課題がある」といった意識を共有する上で愚痴は欠かせないんじゃないか、と愚痴っぽい僕は思ったりするのである。(確かに、愚痴を聞かされる側にとってしてみれば、たまらんなとも思いますけど)


で、ビジネスのフィールドに身を置く以上、お客様という存在は欠かせない要素。これについては僕のエントリにも書いた。

  • 常に挑戦し続けるのはとても大事な事ですが、それをお客様に押し付けちゃいけない。
  • 少なくともSIが主に取り扱うシステムには、無理して技術的なイノベーションに執着する意味も無い。
  • どんなに画期的な仕組みでも、その時のお客様にとって不要なものはそのシステムでの存在価値は無い。
2007-12-26 - 思い悩むblog 改め Buriに片思い日記

という事でFAだと思う。ただし、補足すると、

もちろん、自分がイノベーションを生み出そうとするのも、他人が生み出したイノベーションに対しても、改善したいなと考える必要、知っておく必要はあってその導入がお客様のニーズにぴったりマッチするようなら頑張って導入したいと考える事は必要だし、詐欺以外のビジネスってそういうものな筈。


例えば、Ajaxイノベーションって呼べると思う。そこで「Ajaxを使ってみたいからAjaxを導入しましょう」は、これはNG。「趣味で仕事すんな」または「お客様のお金で遊ぶな」とDisって切り捨てて良い。でも、そのお客様がUIにとても気を使われていて、UIが気になるが故にウェブかC/Sかでまだ揺れ動いているようなら、Ajaxを導入する価値はある。価値があると信じてAjaxを提案して良いし、するべきだ。逆に、お客様が諸事情でC/Sを本当に必要としていたら、Web2.0とか騒いでいるこの時代でもあえてC/Sによるシステムを提案すべき。

で、かなり上の方で「後述しよっと」とか書きましたが、僕がid:gothedistanceさまのエントリで「ギークにスーツのフィールドまで歩み寄れ、スーツはギークに行かないよ的な意識ってどうよ?」と僕がかなり捻じ曲がった受け取り方をした点について、まずお詫びします。

恐らくid:gothedistanceさまが言いたかった事は、

  • 「お客様」はスーツが相手をしている。
  • 技術も何も、まずは「お客様」あってこそ。
  • だから、この場合Ajaxを導入しようと決断できるスーツがいたら、きっと良いソリューション・プロバイダになれる筈。

って事だと思った。
それなら納得できるし、フィールドがどうとか下らない縄張りを意識した方が、間違っていると断言できる。今回の場合、僕が直感的に感じたものとid:gothedistanceさまが考えられている事の差分については、僕の直感が間違っていたと思う。id:gothedistanceさま、ごめんなさい。


そして、でもネガティブな事を書いてしまうんだけれども、そこで僕がやはり(僕定義の)「スーツの人」に不満を感じるのが、

  • ギークからの提案を「リスクが〜」「知らないから〜」「実績が〜」と即答して、ちゃんと考えもせずにNGを出して欲しくない。
  • より良いソリューション提供の為に、Ajaxのコードを読めとは言わないが概要くらいは知っててよ。

というところ。

「お客様のニーズに合うから/合わないから」という理由に対して、文句言うギークギークじゃない。そんな奴は駄目だということは、この業界にいるみんなが理解していると思う。だから、スーツの人は「どうせその技術を使ってみたいだけなんだろ」的な変な先入観を持たずに、ギークの言う事に耳を傾けて欲しいな、と。ギークは自分の技術を売り物にしないと生活がままならない以上、売り物にしようと考える。これは(僕定義かも知れないけど)スーツの人への歩み寄りと言えるんじゃないか、と思う。

であれば、スーツもお客様に提供するサービスってものをギークと一緒に考えようとしても良いじゃないか、と。スーツはお客様に対して企画とか改善案としてソリューションを提示して、ギークはそれをしっかり実現する、と。そういう役割分担をしていこうよ、と。どっちが偉いとか、どっちが下っ端だとかじゃなくて、どっちも大事、どっちも大切、良いパートナーって事で良いじゃないですか、イーブンな関係って事で良いじゃないですか、と。(報酬もイーブンな関係になれば言うことなしだ)

めちゃくちゃ長くなったけどまとめ

このエントリは妙な、そして下らないエントリを書いてしまった自分への戒めと、SIネガティブ・キャンペーンについての自分の感想の整理として書きました。でも、ここを読んでいるという事は、こんな長いやつを読んでくださったという事ですよね。

本当にありがとうございます。

このエントリで、スーツとギークの話題について自分なりに整理できましたし、自分の至らない部分も見えましたので、非常にすっきりしましたよ。


ただ、唯一にして最大の問題は、こんなアレコレと偉そうな事を書いた私がギークでも何でも無いというところ。。。これも含めてやっぱり猛反省続行。