「ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解」
以前の「デッドライン―ソフト開発を成功に導く101の法則」に続いて、書評第2弾です。
非常に面白い内容でした。要約してしまうと、
- 知識労働者は、つねに変化をし続けなくては進歩しない。
- 目先の仕事でめいいっぱい時間を使っているようでは変化は出来ない。
- さぁ、ゆとりを作ろう!
- さぁ、変化をしていこう!
- そして変化を受け入れよう!
こんな感じでした。
あとは「ゆとりを持つ」という事の妥当性とか、「ゆとりを持たない」という事の問題点を色々オモシロく説明しています。巻末には恒例?の「リスク管理」について触れられてます。以前のエントリで「今まで通りのやり方」を変えていくことについて書きましたが、実際のアプローチの是非はともかく変化していこうとするのは無条件に「善」だ、と確信できるような、そんな勇気付けられる内容でありました。
この本にもそのへんが少し書かれておりましたが、落ち着いて考えてみれば当たり前の事なんですよね。【今まで以上の利益】を欲するなら、【今まで以上に働かなくてはならない】。単純に負荷を増やしていくという「今までのやり方」は、1日が24時間しない事と労働者は疲れも知っているし家族も持っている事から、非常に非効率的な効率の求め方だとみんな知っているのに、このやり方以外を受け入れようとしない人って多いです。
それで本気で今まで以上の利益を手に入れられると思っているのなら、それはあまりに幸せな誤解というものです。
特に、発生するかしないか分からない不確定性を持ったリスクを相手にした場合、備え・対処・監視・軽減などの諸作業にかかるコストを割くためにも、目先の仕事にだけ時間を割いている訳には行きません。つまり、プロジェクトを管理していく中で、目先の仕事にとらわれていない時間はリスク管理が可能かどうか、にまで関わってきます。
「ゆとり」を確保できれば全ての問題が片付くとは言えませんが、少なくとも「何が足りていないのか」「あと何をすれば良いのか」「本当にこれで大丈夫なのか」といった事を落ち着いて考える時間は得られます。それらを考えられれば仮に失敗したとしても、きっと今までの失敗より有意義な失敗が出来る筈です。
- 作者: トム・デマルコ,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2001/11/26
- メディア: 単行本
- 購入: 14人 クリック: 119回
- この商品を含むブログ (111件) を見る